石窯を造ってみる

石窯マイスター
 窮すれば通ずと言うべきか・・・、石窯の実物を見たいものだと思っていたところ、コープの「石窯マイスター」なる石窯体験の募集が目に留まった。

さして興味の無いときは、目にも留まらずスルーしていたはずのもの。もっとも、目に留めたのは妻で、こんなのがあるよと教えてくれた。
ロケットストーブと組み合わせて、なんとか出来ないものかと考えていたが、「百聞は一見にしかず」と言うではないか。さっそく妻に申し込んでもらった。
が、そのまますっかり忘れてしまっていた。
しばらく経って案内が送れられてきたので改めて思い直し、参加してみた。以下、記録。
第1日目
 ・自己紹介
 ・本日の内容説明と注意
 ・森に入って、焚き付け拾い(雨が降った後という記憶は無いが、結構、濡れている)
 ・森の中の小さな広場で、3班に別れてそれぞれ着火
  けっこう、着火経験の無い人がいることには、少なからず驚いた。
  私は、高校生の頃には新聞紙1枚で石炭に着火させていたので、木への着火などは
  雑作も無いことだことと思っているのだが・・・
  現在でも、ストーブ等を普通に使用しているし・・・
 ・焼きマシュマロ(スヌーピーとウッドストックがボーイスカウト姿でやっているのを追体験)
 ・薪割り
  ほぼ50年ぶりにマサカリを使った。子供の頃は、秋になると一冬分の薪割りを手伝った
  ものだ。
  秋口になると、トラックが丸太を運んできて下ろしてゆく。2〜3日後に収穫を終えた農家
  (同級生の親だった)が発動機と大きな丸ノコを持ってやってきて、それを40cmくらいに  
  切り揃えてくれる。それを一冬分、端から割って行くわけだ。
  ときどき、テレビで俳優などが力任せに薪割りするのを見るたび、「それでは、一冬分の
  薪なんか割れやしないよ!」とか、一人で思っていたが、薪割りにたいした力はいらない
  のだ、小学校高学年になると、皆そこそこに、上手にかなりの量の薪を割るのだから・・・
  ちなみに、鉈(ナタ)は現在2丁所有し、頻繁ではないが使用している。

 ・昼食(森の中で、焚いた火で作った豚汁をいただく。おかわりさせていただきました・・・)

 ・石窯の説明
  ドーム型・煙道無しで、思っていたものよりはかなり大きい。内径は多分1,200mmくらい。
  暖めるのにずいぶんと時間がかかりそう。ピザを焼いているそうだが、パンを焼くことに
  も何も問題はなさそうだけど、いかにせん、バカデカイ。ホームユースの規模ではない。
 ・感想と記録

  このサイズでは、運用も含めて私の考える極小パン焼き窯の参考にはならないだろう。
  しかし、第2日目の窯焚きとピザ焼き体験は、様様な意味を含めて石窯初体験の私に 
  とって、貴重なものとなることは間違いないだろう。

第2日目(2週間後)
 ・スケジュールを確認後、全員が見守る中で点火。火の管理の説明。
 ・火の管理をスタッフに任せて石窯料理の準備。
  @ピザ
  小麦粉等の生地材をホームベーカリーに入れ、捏ね機能のみを使用。発酵は等分した
  後にポリ袋で行う。
  発酵を待つ時間は出たり入ったりしながら窯焚きの様子を見に行く。見るからに初期の
  燃焼が難しそうな窯だト思ったが、やはり、慣れたはずのスタッフも難儀している様子。
  発酵終了後、整形してトッピング。
  お〜、整形の仕方が私の知っている方法と違う。クッキングシートの上に種を置き、指の
  第二関節の背で押し広げてゆく・・・
  と言っても、私がピザを作った経験が有るのは四十数年前。先輩からバイトを紹介され
  て始めたレストランでの皿洗い。始めてから一週間ほど経った頃だろうか、物事を理詰
  めで進めたい私の皿洗いに余裕があると見込まれたのか、突然、ピザを作れと言われ 
  たのだ。
  が、北海道の山の中で育った私、ピザと言う物は食べたことはおろか、見たことも聞い 
  たことも無かった。どんな物か分からないと言うと、少し経ってから、シェフがこれがサン
  プルだと言って、アンチョビのピザを作ってくれた。いや、旨かったのなんのって・・・
  一回だけ説明するから覚えろと言って、教えられながら初めて作ったのは、金属製の
  プレートに手のひらの金星岡(親指の付け根)ですばやく美しく広げてゆく。
  筋が良いとおだてられ、その日以来、私は皿洗い兼ピザ担当になったっんだっけ・・・。
  と、感傷に浸っている間に石窯の準備も整い、皿に載せて石窯の前に並び、順番に焼い
  て行く・・・。2〜3分だろうか、あっという間に耳が焦げ、すぐに取り出された。
  すごい威力だと思いつつ、室内に戻って試食する。残念なことに、耳は焦げ過ぎなのに
  裏は生焼けという状態だった。まあ、腹は壊すまいと思い、そのまま食べてしまった。
  窯が整うまでの間、途中で何度も燃焼を見に行って思ったのは、行き当たりばったりと 
  言うのか、燃焼させることに精一杯であり、細かい燃焼の管理や窯内の温度管理まで 
  はまったく出来ていない、手が回らないという感じだったが、このピザの焼き上がり状態
  が如実にそれを証明している。
  前回、この石窯を見て思った疑問が解決されないままで運用されていることが分かり、  
  私の疑問は正しく、私にとってはこの窯が反面教師になることが確認されたと思う。

  A余熱料理
  さつまいも、かぼちゃ、りんごの三種を用い、それぞれが工夫をしてそれぞれの判断で
  余熱を利用して調理するというもの。
  余熱と言うには十二分すぎる程の熱があり、それぞれおいしくいただいた。
 ・石窯マイスター登録制度説明・マイスター認定証交付 
  石窯マイスターとは有償ボランティア、石窯と付帯施設を使用するための資格の様だ。
  一年以内に「ステップアップ研修」を経て、または石窯を使用することで更新されるのだ  
  そうだ。
 ・感想と記録

 と、言うわけで、私は自称に拠らず石窯マイスターである。石窯マイスターの認定を受け
 た正真正銘の石窯マイスターである。誰が何と言おうと登録されて石窯マイスターである。
 だから何だと言われても石窯マイスターである。兎にも角にも石窯マイスターである。
  
  放射式温度計による温度管理は、あくまでも窯内の各部の表面温度を知ることであり、
  私が 知りたい・必要とする窯内の温度ではない。
  調理に必要とするのは表面温度ではなく、窯の内部温度とその径時変化であり、放射式
  温度計では測れない。
  熟練すれば表面温度から窯の内部温度を知ることも可能かも知れないが、運用実績が
  2年になるというこの窯のオペレーターには、現時点ではそのスキルはまだ無い様子。
  耳は焦げ過ぎ・裏は生焼けがそれを語っており、安定運用へはまだ道半ばというところ。

  まあ、焦げすぎでも生焼けであろうとも、それでもピザは焼ける。ピザ窯なら瞬発力さえ
  あれば、それで何とかなるだろうと思う。焼き時間の短い菓子パンも何とでもなるだろう。
  しかし、私が望むのは毎日食べる食パンであり、加えて各種ケーキ類であるが、これら
  は「温度管理こそが命」だと思うし、山勘的な運用では通用しないだろう。
  データの取得方法について、あれこれ考え、やりがいがあるだろうし、楽しみにも思う。

  取り急ぎ、実験用の窯を築造したい。問題は、移動式か固定式か、それを決定しなけれ
  ばならない。

  それにしても、見る度に思う。私の計画する窯は、この焚口部分よりも小さいんだなと。
 
 

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